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外廊下(通路)の錆びの原因と段階別の補修方法

この記事を読んでいただきたい方:
外廊下(通路)の経年劣化による腐食(鉄錆び)でお困りのオーナー様や、どのような補修方法があるのか調べたいオーナ様に役立つ記事です。錆びの原因と、その対処方法を段階別にご紹介します。

外通路デッキプレートの錆び腐食1

外廊下(通路)のデッキプレートが錆びている写真

アパートの廊下や戸建ての外階段の床を見上げると「凸凹形状の鉄板」があると思います。これはデッキプレート鋼板と呼ばれています。厚さ1.5mm程度の薄い鉄板で作られていて、床に敷かれたモルタルの受け皿になっている構造部位です。

ご所有建物のデッキプレートを見てみてください。こんな状況になっていませんか?

外通路デッキプレートの錆び腐食2 外通路デッキプレートの錆び腐食3 外通路デッキプレートの錆び腐食4 外通路デッキプレートの錆び腐食5 外通路デッキプレートの錆び腐食6外通路デッキプレートの錆び腐食1

錆びの原因と緊急性について

外通路デッキプレートが錆びる原因について、稚拙で恐縮ですがデッキプレート錆びのスケッチを描きました。

外通路デッキプレートが錆びる原因スケッチ

デッキプレートが錆びる主な原因は床モルタルに湿気が入って腐食の温床になってしまうことです。ほかにも原因(建物からの浸水とか、シンプルな経年劣化など)もありますが、現地調査に伺うと90%が床モルタルの劣化による錆びです。

デッキプレートの腐食を放置していると、胴差(梁)や鉄柱などの重要な構造部にまで腐食が広がってしまい最悪のケースでは床ごと落下します。この事故によって居住者様が人的被害を被り、損害賠償トラブルになることは絶対避けなければなりません。

参考記事:老朽アパート:2階外廊下・床が抜け落ち(kyoto-seikei)

この状況の解決方法として「設備そっくり交換」が究極ですが維持年数や運用資金として現実的ではないため最悪の選択肢だと思います。そうなると「丸ごと交換工事から安かろう悪かろうでコストと安全性を絞っていく補修工事」が延命手段として最もポピュラーです。

では、どのような補修方法があるのか?以下にご紹介します。

補修工法その1「溶接補強」

外廊下デッキプレートに鉄骨梁増設のスケッチ

錆びたデッキプレートが落下しないように床下から鉄骨梁を増設して支える溶接補強工事です。増設した鉄骨梁は既存の鉄骨構造と一体化して物理的に強度復旧をします。

鉄骨梁増設補強工事1

既存の鉄骨と、新しい鉄骨(梁)を現地で溶接固定することで、通路を下から支える新たな構造梁を増設します。

鉄骨梁増設補強工事2

この工事でデッキプレートの欠落リスクを回避します。工事種類としては施工難度(養生含めて)が高く、また工事費用も高い部類になるため、腐食程度によっては工事を除外したり、最低限の作業に絞ったりします。

補修工法その2「鉄部塗装」

外通路デッキプレートの塗膜コーティング

鉄板が外気にむき出しになっているままでは酸化(錆び)の進行は止まりません。鉄部塗装は色を付けることが目的ではありません。鉄板が外気にむき出しにならないように塗膜でコーティングすることで劣化を抑えることが目的です。

外通路デッキプレートの塗膜コーティング作業1

塗膜の寿命は、鉄部の場合8年前後です。外観的に色が付いたままでもコーティングとしての能力を失っているため8年前後を軸に塗り替えをしていけば、かなりの延命効果を生みます。

外通路デッキプレートの塗膜コーティング作業2

ちなみに、デッキプレートは溶融亜鉛メッキを施されていることが多く、塗膜の密着性に懸念があります。腐食状況によってはケレンや下塗りなどの下処理をしっかりした上で塗装をすることをお勧めします(下処理を怠った現場をよく見ます・・。肌感覚では5割くらいが処理が甘いです)

補修工法その3「耐水措置」

外廊下床モルタルへの耐水長尺シートのスケッチ

床モルタルに何も措置をしないと錆びの原因が放置された状態になり、補修工事後も腐食はそのまま進行します。そこでモルタルの上に長尺シートを敷設して浸水を抑える耐水措置があります。

外通路の長尺シートタキストロン工事1

長尺シートは10年以上の長寿アイテムですが、シーリング破断や下地モルタルの状態、使用環境によってシートが傷むことがあります(新築改築問わず)。

外通路の長尺シートタキストロン工事2

施工方法の種類(従来式・ベンチレイシート式・線防水など)や品種やグレード(3S工法やRSタイプ、ジョイント溶着など)、用途や予算に合わせて多くの選択肢があるため、知識のある業者さん(弊社とか!)にご相談された方が安心です。

結局どこまでやればいい?補修の取捨選択

補修方法として「溶接」「塗装」「耐水」をご紹介しました。うーん、どこまでやればいいんだろう?自分で補修できることはあるかな?予算もあるし・・とお悩みではないでしょうか。参考に、DIYで鉄錆び補修できる範囲について解説したページがございます。

参考:鉄骨錆びの補修DIYはどこまでできる?どこから業者の出番?

この記事を読んでいただきたい方: 鉄骨...

オーナー様の目の前にあるデッキプレートはどの程度傷んでいるのか?メンテナンスはどれだけしてきたか?あと何年使うのか?を考えるときに、その補修範囲(どこまで工事を絞るか)が決まってくると思います。

例えば、残り数年の維持で腐食も軽度であれば全種類の工事はしなくて良いと思います。弊社の経験としては優先順位として「溶接>塗装>耐水」です。これは補修工事の順番でもありまして、耐水から工事をしてしまうと溶接焦げが出たり塗膜がシートの内側に潜り込めないなどのトラブルが出て、取り返しがつかなくなるのが現実です。

オーナー様の諸事情を踏まえて、費用の無駄がない補修工事をしてください。小さな施工店ですが弊社は鉄部補修工事を専門としています。お気軽にお問い合わせください。

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