鉄骨階段や補修に関する用語解説
鉄骨改修工事でよく使われる鋼材やアイテムを個別にご紹介。当社のレビューも合わせてご紹介しています。(随時増やしていきます!)
ボンデ鋼板
亜鉛メッキ処理された薄肉の鉄板。正確には「電気亜鉛メッキ鋼板」。 通常の鉄板との違いは、ボンデ鋼板はあらかじめメッキ処理されているので耐候性が高い。また、電気メッキの皮膜は薄いため母材の厚みに影響されず薄さを活かした現場加工に適している。このため、現場での臨機応変な補修作業に適している。
当社では1.6mmのボンデ鋼板を主に使用。耐候性が高いものの皮膜の薄さゆえ、上からの塗装が前提となる。
本来の溶融亜鉛メッキ鋼板(鉄板にあとから溶融亜鉛メッキ処理したもの)は皮膜が厚く耐候性も高いため、塗装をしないケースも多い。また、都度のメッキ処理を行うためボンデ鋼板に比べると時間も費用もかかる。
踏み板(段板)・蹴上・ササラ桁
踏み板とは、階段のステップ部分として呼称される。段板(だんいた)、踏み面(ふみづら)とも呼ばれる。アパートなどの鉄骨階段では段板はモルタル式になっていることが多い。お盆のように鉄板を加工して、その中にモルタルを流し込んでいる。また、チェッカプレートで製作される鉄板式段板もある。
蹴上「けあげ」とは、階段の1段あたりに設けられた「高さ部分」。つまり「垂直方向」の板。蹴上げがない鉄骨階段もある。また、多くのケースで、これらの踏み板はアングルピースというL字型に曲がった鋼材で支えられている。
ササラ桁とは、階段の段板を両側で固定している鋼材(鋼板)。
鉄骨階段のサイド部分を「ササラ桁(ササラ)」と呼ぶ。鉄骨階段においては構造上のメインともいうべき重要な存在なので、階段の補修工事の起点になることが多い。ササラ桁の強度がしっかり残っていれば鉄骨階段の延命(使用延長)の可能性は高く、逆にササラ桁がサビてボロボロの場合は、変則的な補修あるいは階段そのものの交換が必要になる。
タキステップ (タキストロン)
タキロン(タキストロン)は樹脂建材メーカーのタキロン株式会社が提供する機能性床材。階段用ではタキステップ、廊下用ではタキストロンと製品名が分かれるが性能は同じ。多層シート構造で作られており、床表面からの水の浸入をブロックする。本来は防滑性や抗菌性、耐候性を特徴にした製品だが、当社では鉄骨廊下や階段のモルタル床面からの雨水の浸入を防ぐために採用。
タキステップの表面には2mm程度の凹凸模様がある。このエンボスの表面があるために防滑性能がある。また、階段昇り降り時の歩行音を「ある程度」吸収してくれるが、施工下地が鉄板の場合は音の吸収効果はあまりない。
この製品は施工のスピードも短期なので、アパート入居者様の負担(通行制限など)が少ない。端部のシールの寿命に合わせて定期的に打設をすれば長期間の雨水対策として鉄骨への雨水侵入を抑制可能。
タキステップを施工した鉄骨階段の小型サンプル。鉄板がむき出しの段板(2段目)は経年変化でサビが発生するが、1段目、3段目はタキステップをあとから施工することで雨水対策となり、サビの発生抑止や外観向上に繋がる。
また、自社工場内にいろいろな施工条件を合わせて作って鉄骨階段にタキステップ(タキストロン)を敷設した「階段まるごとサンプル」も作ってあるので、工事前にイメージがつきやすい。
ご希望のオーナー様には、タキステップの施工後のイメージをシミュレーションした合成画像(CG)を作ることもできます。
鉄部塗装のウレタン系塗料
塗料にはグレードがあり、アクリル→ウレタン→シリコン→フッ素とランクが上がっていく。ランクに比例して費用は高くなるが塗装皮膜(コーティング性能)の耐用年数が伸びる。費用対効果の面から外壁はシリコン系、鉄部をウレタン系を選ぶことが比較的多い。
また、鉄部塗装の塗り替え時期は6年前後が望ましい(立地や環境、構造によって的確な時期は変動)。鉄部塗装は「外観キープ」という役割と同時に、鉄表面を外気から守る(酸化を防ぐ)コーティングの役割がある。鉄部の塗り替えは「鉄部をコーティングする」という視点が必要。
補修現場で多く採用している「1液ファインウレタン」は1液性なので材料費用の無駄が出にくく、またシンナー臭が控えめなので現場塗りに向いている。従来のオイルペンキに比べると費用は高いが耐候性や耐久性が高い。塗装する手間費用(工賃)は同じなので塗料費だけの差額。
水性塗料は鉄骨にはNG。すぐ錆びてしまう。外壁は水性も可能。