「ステンレス手すりが折れた」とのSOSをいただくことがあります。実は折れる場所(破断する場所)はだいたい決まっていて、ほぼ溶接されている部分です。
今回は、破断した箇所を出張溶接で修理する工事のご紹介です。
ステンレス手すりが折れた
とある施設のスロープで利用されているステンレス手すり。手すりの端部(曲がっているところ)が折れているとご相談を受けたのが上の写真です。
破断している箇所は、ちょうど溶接組み立てされた部分でした。
手すりの端部はこんな感じで作られている
手すりのイメージとしては上記のような構成となっていて、「ストレートの部品」と「カーブの部品」がそれぞれ溶接で接続してあります。
この接続ポイントに何らかの力が加わったり、もしくは製品の仕様によっては亀裂が生じたり破断してしまったりします。
下記の施工例でも、折れた場所が「溶接されたジョイント部分」でした。
溶接された箇所というのは2次加工の作業で行うことが多く、実は手すりの弱点ともいえる場所なのですが、例えば鉄骨階段や廊下も腐でも「溶接個所」が起点になりやすいです。
それは、溶接をすると母材の構成要素が微妙に変化して、語弊を恐れず言うなら「金属強度が改悪された状態」になるからです。
出張溶接で修理します
こちらが修理前の状態。手すりの折れたところが確認できますね。
破断した箇所を切断します。キレイに切れました。
折れた互いのパーツの下地補正をしてから、アルゴン溶接で再接続します。アルゴン溶接は風が強いと噴射ガスが散ってしまいます。工法として天候や場所を選ぶ点に注意。
破断部の全周溶接をすると溶接の焦げ跡が出ます。溶接周囲の黒い帯のような部分です。一般的には「溶接の焼け」といいます。
この溶接焼けを研磨して出来るだけキレイに仕上げます。設備のある工場で修理すればもっと精度は上がりますが出張溶接には限界がありますね。外観として「直しました感」は残りますが、手が触れても怪我しない状態まで研磨してあるので再利用は十分可能です。
これで折れたステンレス手すりは復活。コストをかけずに引き続き使えます。