鉄骨階段の現状(鉄骨サビ度:★★★☆☆)
アパートを相続されたオーナー様から「外階段がだいぶサビてきていて・・。補修することは可能ですか?」とお電話をいただきました。調査をしたところ「全体的なサビ」というよりは「部分的に集中したサビ」がありました。
鉄骨階段の修理方法:
工事費用の範囲内での修理工事を検討した結果、現段階で特に劣化の激しい部分のみ修理することにしました。半年後にアパートの大規模改修工事を行うこともあって、工事予算は少額とはいえ確保してくださいました。今回はサビ腐食した段板を「モルタル式段板」から「鉄板式段板」に交換しました。
この工事の相場費用について:
鉄骨の腐食ダメージの具合や工事条件がまちまちであるため、工事費用も現場ごとに異なります(現場調査が必要です)。お見積依頼等お気軽にお問合せください。
できるだけ「補修」で延命を目指すのがこだわり
木造アパートとしての残りの運用期間や改修計画を考えたとき、外部の鉄骨階段のサビ修理がが「パンドラの箱」になっていませんでしょうか?どこの業者に頼んでいいかわからない。うっかり交換を提案されても高額になりそうだし・・・と。
とはいえ、鉄骨サビは放っておくと、どんど拡大して鉄骨全体を蝕んでいきます。
そこで当社は「交換は最後の最後の手段」にして、できるだけ補修して延命を目指すことを方針としたご提案をします。
今回の修理工事では、建物維持年数と人的被害対策を優先した工法をご提案します。つまり「工事費用の中で最大限の補修努力をする」ということです。
「モルタル式段板」から「鉄板式段板」に変更する
今回の補修工事では、サビ腐食の強い段板だけを、従来の「モルタル式」ではなく「鉄板式」に交換しました。
段板の見た目は変わってしまいますが、工事期間はこの方が短くなって、工事費用も安くなります。
では、モルタル式の段板と鉄板式の段板の違いってなに?という疑問について、比較のための箇条書きでまとめてみました。
- モルタル式段板のメリットとデメリット
- 段板は昇り降りの音が静か(メリット)
- アパート階段として見た目も落ち着いている(メリット)
- モルタルの劣化から雨水が浸入してサビやすい(デメリット)
- 「鉄板式」と比べて高額(デメリット)
- 鉄板式段板のメリットとデメリット
- 段板は昇り降りの音がする。カンカンと音がする。(デメリット)
- 階段の見た目としては実用性を重視した印象(デメリット)
- 通気性が高くサビ腐食しにくい(メリット)
- 「モルタル式」と比べて安価(デメリット)
上記のように「モルタル式段板」と「鉄板式段板」の長所短所は表裏一体です。
また、両者の段板を踏んだときの足に伝わる感触も微妙に異なります。「階段の段板の見た目や感触が異なる」ことに支障がなければ、鉄板式の段板への交換によって工事費用は安く、工期も早く終わります。
さらに、鉄板式の段板は通気性に優れるので、今後の腐食にも強く、工事後のメンテナンス効率も向上します。見た目や使用音と引き換えに実用性はアップします。
参考:モルタル段板をチェッカープレート鉄板に変更した別の工事例
階段の上から段板を見ろしています。交換した段板と、手を加えていない段板の差がはっきり出ていますね。朱色の鉄板部分だけが補修ポイントです。あとは手を付けていません。
「とりあえずの修理」という印象ですが実用性は高いので、この辺りのご判断はオーナー様次第です。
踊り場の鉄骨サビ対策も怠らず。コーキングシール処理。
階段の踊り場部分の写真です。
モルタルと鉄骨のすき間にコーキングシール処理をしました。雨水を浸入させないためです。実はこの作業はとても大事です。
外部の鉄骨は常に雨風に晒されてサビのリスクを負い続けます。このシールをしておくことでモルタルから鉄骨内部への雨水をブロックするので「内部の鉄骨サビ」を抑止します。
せっかく鉄骨サビの修理をしても、サビの原因対策をしないままだと、修理効果は100%発揮されません。
ではどこまで修理すればいいのか、何が適切な工法なのか・・という部分については現地でオーナー様から事情を伺いつつ、プロの視点でご提案いたします。