鉄骨階段サビの現状(鉄骨サビ度:★★★☆☆)
建物オーナー様から「階段踊り場の揺れが心配です・・・」とご相談をいただきました。この階段は柱の存在しない「片持ちタイプ」と言われる鉄骨階段です。外部鉄骨が独立して建っておらず建物側から固定されている状態をいいます。30年という築年数が経って老朽化したことによって建物との緊結強度が落ちて、結果的に階段自体に「揺れ」が生じます。
鉄骨階段の補教方法:
片持ちでグラグラ揺れるのは入居者様も心配です。そこで「揺れを軽減する補強の鉄骨柱を増設する工事」を行います。既存の鉄骨階段はそのまま利用できるので、入居者様への負担は最低限になります。そして、階段の外側に新たな補強柱を通すことで揺れを軽減します。この補強工事のミソは、鉄骨階段への重量負担を半分以上に抑えたことです。
この工事の相場費用について:
鉄骨の腐食ダメージの具合や工事条件がまちまちであるため、工事費用も現場ごとに異なります(現場調査が必要です)。お見積依頼等お気軽にお問合せください。
目次
「片持ちの鉄骨階段」とは「建物にくっついた階段」
補強工事前の鉄骨階段の様子。踊り場を支える柱がないのがわかりますか?
このタイプの階段を「片持ち階段」といいます。階段自体が独立した構造ではなく、いわば「建物にくっついた状態」で作られた階段です。見た目はすっきり見えますが、地震などの災害時は、建物との揺れ(モーメント)との違いが生じて、だんだんと強度がギクシャクしてきます。結果、何度かの震災を経験した片持ち階段はグラグラしてくるのです。
補強鉄柱を増設して「グラグラ」を軽減します
片持ち階段の経年劣化によって生まれる「揺れ(グラグラ)」を軽減するため、補強鉄柱を増設します。上記はそのイメージ画像。
赤い太線が増設する補強鉄柱のイメージ線。踊り場に接する鉄柱を増設して鉄骨階段の両脇から支えます。
ではこの補強工事の流れを下記にご紹介します。
片持ち階段補強その1「基礎工事」
新しく柱を建てる部分に「墨(すみ)」をつけます。
墨とは印(しるし)のようなものです。「ここに鉄柱を新しく建てますよ」というガイドラインです。鉄骨工事や基礎工事の基点になります。
「墨(ガイドライン)」に沿って地面を掘削します。基礎工事がいよいよスタート。
地面の掘削が終わりました。この穴の中に補強鉄柱のベースとなる「根元(=アンカーセット)」を埋設します。
ところで、断面で見でいただくとわかるように、コンクリートの厚さは皆さんが思った以上に薄いのではないでしょうか。だいたい10cmくらいですかね。コンクリート層の下は土です。
補強鉄柱のアンカーセットがこちら。
アンカーセットは主に鉄筋で作られており、てっぺんのボルト部分だけが顔を出すように埋設されます。
アンカーセットが埋まった穴にモルタルを流し込んでいきます。
アンカーセットのボルトの部分だけがモルタルから顔を出すように埋めます。いよいよここに増設する補強柱を建てていきますよ。
片持ち階段補強その2「補強柱工事」
いよいよ既存の踊り場を支える補強柱を建てる工程。工場で製作した補鉄強柱とアンカーセットは写真のようにボルト固定されます。
「地中→アンカーセット→補強柱」と1本線で結ばれた補鉄柱が鉄骨階段を支えます。
補強柱は、階段の踊り場に溶接固定した補強プレートとボルトで緊結されます。
補強柱同士もボルト固定して組み上げます。クレーンで吊りあげつつ組立て。
これで既存の踊り場は補強柱の強度を得て、グラグラする揺れを軽減させます。昇り降りの安心感が全く違います。そして、実際にオーナー様にも昇り降りを確認してもらいました。
「ああ・・全然ちがう。良かった!」と感激してもらえました。私たちも嬉しくなる瞬間です。
片持ち階段を救う補強柱で「揺れ」を軽減できた
補強柱の増設は無事終了。
この補強工事によって、揺れモーメントの違いが生じやすい「片持ち階段」のグラグラが軽減された格好
入居様もオーナー様もひと安心。これからも鉄骨階段は現役の強度を維持して安全に使用できます。
経年の強度ダウンでグラグラする片持ち階段でも、後からの補強工事で対応可能です。オーナー様、専門の私たち鉄工所にお任せください。