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鉄部の補修延命工事(腐食問題)が終わったあと、「今後のチェックポイントは?メンテナンスはどうしたらいいのか?専門的な視点が欲しい?」とお悩みではないでしょうか?本記事ではおおまかに「鉄部のメンテナンス」「塗装のメンテナンス」「耐水長尺シートのメンテナンス」に分けてご紹介いたします。
工事後の鉄部のメンテナンス
鉄骨の補修工事は「あちこちの腐食から優先順位をつけて溶接補強をする」ことがテーマだったはずです。補修工事の優先順位は「人的被害回避 > 持続性の高い補強 > 外観」となることが多いです。この指針をもとにコストとリスクを天秤にかけながら工事項目の取捨選択をします。
既存鉄骨設備を継続利用していくにおいて定期的なチェックとメンテナンスは必要です。特に工事の際に取捨選択で範囲から漏れた部分についての「今後の補強計画」を業者と情報共有しておくと安心です。
また、足場を建てていない箇所の鉄部腐食にはご注意ください。工事内容や費用によって足場が立てられず補強されていない箇所がありませんか?脚立などの軽足場では軽度な溶接補強で終わっていることが多く、経年劣化に対して注視すべきです。
工事後の塗装のメンテナンス
鉄部塗装の塗り替えは7~8年に一回が節目です。これは塗膜の役目は「鉄の酸化を防ぐこと」で、おおよそ寿命がそのくらいだからです。色が残っているからと安心していると、内側で腐食が進んでいることがあるので注意が必要です。
弊社で使用する鉄部塗装はウレタン系塗料が9割です。もちろん上位品質のものがありますが費用対効果からウレタン塗膜を選ぶオーナー様が多いです。
上記塗り替え時期に「次の7~8年のために人的被害を懸念する箇所があるか」を確認して補修、そしてまた塗膜をつけます。また、既存鉄部(鉄パーツ同士の接合部など)は、既存鉄内部に潜在的にある錆びの影響から「錆び垂れ」がでます。早いと数か月から数年で出ますが、鉄が腐食する原因が「鉄が酸素の水に触れて酸化すること」なので、塗膜があれば延命効果は担保されています。
工事後の長尺シートのメンテナンス
補修工事で行う長尺シート施工(弊社で使用する長尺シートはタキロン社製です)は、施工時点の排水勾配の影響をそのまま受けます。築古物件の場合、床面は経年劣化による不必要な凸凹ができていて、雨天後に床面に雨水が停滞することがあります。下地の影響を受けるということですね。
しかしながら、この現象も「モルタルへの浸水経路が遮断された結果」ですので、延命効果は担保されます。雨天後に床面に水が停滞したら自然乾燥を待つか、さっとホウキで掃けば問題ございません。また、今後の品質維持のため、長尺シートのうえに鉢植えなど置くことはお勧めしません。犬猫の糞尿も品質低下のきっかけになります。
長尺シートの端部と鉄部接合部にコーキングが施工されますが、施工環境やご利用シーンによってコーキング製品の寿命はまちまちです(長尺シートより短命です)。このコーキングが欠けたり破断したりすると、そこから毛細管現象的に雨水がシートの内側に浸透してしまい鉄部腐食が再開してしまいますのでご注意ください。コーキングの寿命は8年くらいですので、鉄部塗装のタイミングでしっかり状況確認をしていただければと存じます。
まとめ
どのような補修工事をしたか、どのような範囲まで工事をしたか、今後に予見される腐食ポイントとそのときの対策まで詰めておければ、工事前後の情報把握ができて建物オーナー様はご安心と思います。
また、DIYでどこまで補修できる?という記事もありますので合わせてご一読ください。
参考記事:鉄骨錆びの補修DIYはどこまでできる?どこから業者の出番?