この記事を読んでいただきたい方:
経年劣化した外階段の修理をご検討の建物オーナー様向けの記事です。外階段の「ササラ桁」の復旧修理がメインとなります
外階段の段板を支えるアングルピース(L型の受け金物)の腐食相談でした。現地調査をしたところ、これに付随する不安な点が見つかりました。段板を支えるササラ桁に関する問題です。
このページでは、外階段のササラ桁を中心に修理を加える工事のご紹介をします。
外階段のササラ桁が外れかけている・・
こちらが修理のご相談をいただきました外階段です。上から見た印象ではさほどではないのですが・・・
外階段を裏側から見ると、段板を支えるアングルピース金物が劣化しているのがわかります。こちらがオーナー様からご相談いただいた内容です。
アングルピースが劣化すると、段板を支える強度を失い将来的には段板が外れるケースがあるので、補強溶接やアングルピースの交換をすることになります。
しかしながら、今回はもうひとつの問題点が見つかりました。次の画像です。
わかりづらいのですが、段板とササラ桁の間に「すき間」を見つけました。段板とササラ桁が離れかけていることを意味します。そのままにしていると、ササラ桁がさらにズレてしまい、階段の形状を維持できなくなります。
ご入居者様の人的被害の回避と、資産の延命措置として以下が修理方針となります。
問題点:階段としての構造を維持できなくなる
(1)段板のアングルピースが劣化
(2)上記の原因によりササラ桁が段板から外れる
解決点:構造バランスが戻り、階段を引き続き使えるようにする
(1)アングルピースの復旧
(2)ササラ桁の位置矯正のうえ溶接固定
(3)上記の補修効果を維持するための耐水処置
ササラ桁の位置矯正の修理
上記が修理方法です(わかりづらくてスミマセン)。
段板のアングルピースを交換しつつ、この機会にできるだけササラ桁を元の位置まで矯正して溶接で再固定します。同時にササラ桁の根元をコンクリートで固定してササラ桁をずれ込みを抑えます。
まずは劣化したアングルピースを撤去します。この間、段板が落ちないようにジャッキで下から支えておきます。下地調整のうえ、新しいアングルピース溶接の準備をします。
工具を使って、離れたササラ桁を引き寄せつつ、バランスの良い位置矯正ができたら新しいアングルピースを溶接固定します。ここが本工事の重要ポイントかもしれません。
位置矯正したササラ桁を維持すべく、ササラ桁の根元部分をコンクリート巻きにして固定します。「根巻き」といいます。
これで鉄部修理はひと段落。次の工程に移ります。
ウレタン塗膜2層でしっかり鉄部コーティング
外階段を継続利用のためには必要なメンテナンスは「塗膜」を付けることです。
外部鉄骨設備は常に風雨に晒されて腐食のリスクを負っています。鉄部の塗装は「色付け」という意味でなく「風雨から鉄骨を守る」という意味があります。オーナー様にはココを知っておいただきたいです。ちなみに鉄部の塗り替えは7年前後が目安。実際には階段の経年劣化の様子を見て決めていく必要があります。
まずは、既存鉄部の表面サビを除去(ケレン)してから、防錆塗膜で鉄部全体を塗装します。
防錆塗膜が乾燥したら、ウレタン塗膜を「中塗り」「上塗り」と2回塗装します。この結果、外階段は3層の塗膜コーティングを得たことになります。
鉄部塗装は「鉄部補修の効果を維持する」大事な工程です。ただ塗っているわけではないのです。塗装する前にしっかりと鉄部修理をすることが設備延命のキモです。
段板とササラ桁を雨水から守る、長尺シート
離れてしまったササラ桁の位置矯正と、段板の復旧が済んだところで、この段板の保護するための長尺シートを敷設します。写真は敷設前のモルタル下地調整。
長尺シートで段板保護したら端部のシーリングを行えば完工です。これでまだまだ外階段は現役強度で頑張ってくれます。
アングルピース交換、というご相談から始まった「思わぬ問題点の発見」がありましたが、そこは専門業者の私どものお役に立ちポイントです。
オーナー様、外階段の修理でお困りの際はお気軽にご連絡ください。
参考:既存段板を活用した延命修理もございます