鉄骨サビの補修補強をせずに塗装すると、後悔します
突然ですが、アパートオーナーの皆さまに質問がございます。
外部階段や廊下のメンテナンスで【いきなり塗装】をしていませんか?
鉄骨のサビ腐食のご相談をいただき、現地調査に行くと「すでに塗装がされている」ケースがあります。この状況だと現場調査(目視や触診)で腐食状況の正確な診断が難しくなります。
鉄骨の強度診断も以下のような「タラレバ」が付いてしまいます。
- 塗装前に鉄骨の強度に問題がないのなら・・
- 塗装前に鉄骨の下地が補強されているとして・・
- すで塗装されているので補強がされていれば・・
・・このような憶測を含んだ診断になることが多いです。
もちろん塗装工事では、塗装する前に「ケレン作業(既存のサビ腐食をそぎ落とす)」をすると思いますが、ケレン後にサビ穴が拡大したり、明らかな鉄部強度ダウンが確認できても、パテ詰めや塗装下地のテープで覆ってしまうなど、簡易的な処置で塗装されるケースがあります。
これでは、鉄部腐食のダメージは手つかずのままです。厄介なのは、手つかずの事態にオーナー様が気付けないことです。
鉄部の腐食を正確に診断できない具体例
例として、上の写真のように「テープ」が巻かれて、その上から塗装された状態を確認することがあります。これは何を意味していると思いますか?
テープで包帯のように巻いて、サビ腐食を隠しているだけです。
テープを剥がすと、サビ腐食がそのままになっている
許可を得て「テープ」を剥がした写真です。鉄骨を塗装する前に、鉄骨サビの補修をしていなかったのが一目瞭然です。
このような「サビ補修を後回し(見て見ないフリをしてしまう)にする」例は、上記の小さな鉄部だったり、鉄骨の大切な構造部で行われていることもあります。
もちろんこの写真はヤラセではなく、ホンモノです。
塗装の前に必ず鉄部のサビ補修を!
このページでアパートオーナー様にお伝えしたいことをまとめます。
アパートの外部階段や廊下・ベランダ・屋上手摺などの鉄部のサビは、放っておくほど深刻なダメージを負います。サビの侵攻は外見ではわからないことが多いです。
鉄部の理想的な塗装(コーティング)時期は6年前後です。定期的な鉄骨塗装の機会に必ず鉄部の健康診断をお薦めします。
アパートの鉄骨設備の腐食によって発生した人身事故は大きな問題になります。アパートの設備メンテナンスはオーナー様の義務です(民法601条)
参考:アパートの通路の床が抜け、怪我させた時の対処(楽待新聞)
鉄骨塗装の目的は鉄骨設備の維持のはずです。外見だけ良くしても本末転倒ではないでしょうか。鉄骨の寿命を延ばすため、塗装工事の前にしっかりと鉄骨サビ腐食の補強を行いましょう。