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鉄階段のサビを【無駄なく】補修する方法

この記事を読んでいただきたい方:
屋外の鉄階段の補修方法を知りたい方。サビ腐食による強度ダウンで、鉄階段の使用に心配のあるオーナー様。

鉄階段の現状(鉄骨サビ度:★★★★☆)
この鉄階段は「段板」が下方向に凹んでいます。これは鉄骨の老朽化が原因です。階段の昇り降りのたびに荷重が縦方向にかかり、そのたびに段板がしなります。入居者様はなんとも不安な使い心地だったそうで・・。

鉄階段の改修内容:
段板が錆びて曲がった場合でも、ほとんどのケースで復旧補修できます。とはいえ、目の前に見える錆びを補修しただけでは「一時的に錆びをしのいだ」だけです。つまり、「錆び再開のリスク」が放置されている場合があります。この補修工事例では「錆びの原因ごと【無駄なく解決する】」を解説します。

鉄階段の補修とタキステップ

この工事の相場費用について:
鉄骨の腐食ダメージの具合や工事条件がまちまちであるため、工事費用も現場ごとに異なります(現場調査が必要です)。お見積依頼等お気軽にお問合せください。

まず、鉄階段に求める「寿命」から考えましょう

アパートの老朽化した鉄階段

鉄階段が錆びていて補修してもらいたいとご相談をいただき、調査を行いました。

鉄骨の腐食状況を確認して、まず最初にアパートオーナー様に質問することがあります。「この鉄階段の寿命はあとどれくらいで考えていますか?」という質問です。

もし、残り数年で建物を解体するご予定であれば簡単な溶接補強だけで良いです。サビが再発しても、鉄部の塗装をしないでも良いと思います。人的被害に影響がない限り、数年先に取り壊す設備を頑張って修理する必要はありません。

もし、10年を超す維持をお考えであれば、目の前の鉄骨補強だけでは資金的に損をする可能性があります。なぜかというと、簡易的な鉄骨補強は「錆びの侵攻を一時的にしのぐ作業」で短期的な補強効果しないからです。

鉄階段補修 ~鉄骨補強編~

鉄階段の段板が凹んで変形する

上記は、凹んで変形してしまった段板の拡大写真です。経年劣化によって強度を失った鉄板が、日々の昇り降りの荷重によって垂直方向に凹んでいる状態です。

今回のご相談では、まだ10年以上の使用をご希望されたため「無駄のない」鉄階段の補修方法をご提案します。「無駄のない」の意味は「補強効果を最短距離で実現する」ということです。以下、鉄階段の補修工事を始めます。

階段段板の溶接補強パーツ

朱色の鋼材が、工事に使用するL型の補強パーツです。これを階段の段板に溶接して補強を行っていきます。

ジャッキアップして段板補修する

ジャッキ工具を使って、凹んだ段板を水平状態に矯正します。

補強パーツを使って鉄骨階段を補修する

水平に矯正された段板に対して、前述の「補強パーツ」を溶接します。結果、段板は矯正された状態で強制的に固定されます。

既存の段板を取り壊すことなく、補強工事で再利用できるようにしました。

溶接を使った鉄階段補強

鉄階段の全段板に「補強パーツ」が溶接されました。グレーになっているのが既存の段板、朱色の部分が溶接された「補強パーツ」です。

残り数年で階段を解体するのではれば、工事はここで終わりでも良いかもしれません(最低限、防錆塗装やタッチアップ塗装は必要です)。

鉄階段補修 ~塗装編~

鉄階段のウレタン塗装

中長期的な鉄骨の維持が必要であれば、鉄骨塗装が必要です。

鉄部の塗り替えタイミングは、立地や使用条件、環境に、構造によりますが6年前後が塗り替え時期です。(変な話を申し上げますが、おそらくこのスパンで塗装をされている鉄骨であれば、錆び補強の工事は必要無いか、あるいは軽微な修理で維持できます)

ファインウレタンU100

こちらが当社がよく使用するウレタン塗料。1液ファインウレタンU100です。

塗料の成分によって費用や耐久性に差がでます。鉄部ではウレタン系塗料がベターです。詳しくは鉄部への塗料についての記事で解説しています。

塗装の効果は「鉄骨補強工事の効果維持」と「鉄骨延命」です。私たち鉄工所から言わせると、鉄部の塗装は「見た目の刷新」というよりも「鉄部をコーティングする」という意味で重要なメンテナンス手段です。

鉄階段補修 ~雨水ブロック編~

鉄階段と3Wタキステップ

鉄部の塗装でコーティングされた鉄階段は、外気から守られ耐候性を維持します。

最後に行う工程は、鉄骨階段の錆びの主な原因となる「雨水」から鉄骨を守る補修工程です。

タキステップという機能性床材シートを使うことで階段の床面をシートで覆って、床表面への雨水侵入をブロックします。

梱包されたタキステップ

タキステップは工場で下準備をした状態で現地に搬送します。これは荷姿です。

タキステップのような複層シート製品による耐水は、「ウレタン防水」などの塗膜防水と比較されることがありますが、耐水効果として同等かそれ以上(相場として10年以上)であり、かつ工期が短く、工事費用にも差がなく、さらに今後の維持費用も安くなります。こちらの記事でタキステップ製品についてレビューしています。

屋上や狭いバルコニーなど、限定的な施工条件でない限りは、アパートの鉄骨設備の維持アイテムとしてタキステップやタキストロンのような機能性床材シートをお勧めします。

屋外にある鉄階段が錆びや経年劣化で、維持や使用に問題が出たときに、最初に考えるのは「残りの使用年数」です。ここを基準にして「どこまで補修するのがベターなのか」を見極めたほうが、無駄のない補修工事となるしょう。鉄骨延命の専門家の当社がお役に立ちます。