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誤解なきよう。鉄骨の延命工事は強度復旧がゴール。美観復旧は別工事で。

この記事を読んでいただきたい方:
ご自宅や所有アパートの鉄骨階段や共用通路の錆び腐食を補修したいと考えておられるオーナー様、補修工事をどのように業者に依頼すればいいかお悩みではないでしょうか?延命補修工事に期待される効果と誤解をご理解いただけます。

実はこれから書く内容は、延命工事の専門業者として何百件も経験をしてきた私どもの「ちょっとした愚痴」を残すお目汚しの記事です。ノウハウ系の記事ではないので興味のない方はスルーしてください。
鉄骨溶接補強風景


先に結果からお伝えします。

鉄骨延命工事は強度を延長(維持)する工事で、美観を復旧する工事ではありません。

例えば「既存の鉄骨の上から塗装をするから、鉄骨内部や溶接個所から錆び垂れがでます」とか「耐水措置後は床面に浸水できなかった水が残るかもしれません」など、既存設備をそのまま活用する補修工事では新設工事にはない副作用(条件)があります。鉄骨強度維持の目的がブレないよう、工事前に必ずお伝えして、オーナー様もご納得されます。

しかし、工事が進んでいくと、鉄骨設備がどんどん再生していく様をオーナー様は目の前にされるわけですが「おお、鉄骨設備が新設備になった!」と誤解を始めてしまうオーナー様がときどきいらっしゃいます。ここが私どもがお応えしきれない懸念点です。

改めて・・既存鉄骨の強度復旧でコスト節約しながら同時に人的被害リスクを減らすことが大事で、美観維持は達成することができません

参考:既存の鉄骨延命補修工事のデメリット

この記事を読んでいただきたい方: 腐食...

工事をする前にオーナー様と工事結果イメージをしっかり共有していただけに、ここで路線が変わると工事が脱線します。私どもも、工事のご説明不足とならないよう丁寧にお伝えしてまいります。

私どもはオーナー様の財産の延命を請け負うべく全力で取り組んでおります。美観の復旧を伴うことはコストも時間も別に発生することをオーナー様にご理解をいただけば幸いです。

私たちはプロとして、徹頭徹尾、オーナー様の財産を守れるよう、怪我のないよう、鉄骨設備延命を使命に工事をします。
鉄部塗装のメンテナンス塗り替え風景

私どもがご相談をいただくきっかけは「鉄骨が錆びて困っている」が圧倒的なのですが、錆びて何が困るのかというと、壊れたり崩れたりして事故が起きてしまうかもしれないという心配」からだと思います。

このお悩みにドンピシャでお応えできるのが横山鉄工所です。正直「よく見つけてくださいました!」と思うほどです。

工事のお見積前には必ず、現地でお話をお聞きすることにしているのですが、このときに「そう、そうなんだよ」とか、「なるほど、そういう視点は納得だ」など、オーナー様のご理解や共感をいただけることが多いです(ビジョンを共有できない場合は工事を辞退しております)。そして、このお打合せを活かした直球な工事とお見積を専門店としてご提示します。

延命補修工事は通常の建築工事とはちょっと方向性が違って、「鉄骨の安全性を確保したい。でも中古状態なので安い費用で実現したい」「すでに住んでいるから設備交換していたら生活できない」という視点があります。そこで、補修工事に臨む私どもは、だれが作ったかわからない設備を経年劣化状況を見極めながら、現状のなかで何をすれば安全性に繋がるのかを必死で考えご提案します。

このオーナー様のお悩みに真摯に向き合い、また現実路線をお示ししながら、オーナー様の利益(資金や健康という意味)を最優先に延命補修工事をします。


とあるオーナー様からご相談をいただいて、現地に伺いました。電話では「鉄骨通路の錆びで困っている」と。現地で直接オーナー様とお話をしていると、だんだんとご相談の背景がわかってきました。

  • 建物内のメンテナンスを優先していて外部設備をみる余裕がなかった
  • 気が付いたときには腐食が深刻になっていて危機感を覚えた
  • リフォーム会社に相談すると「もう交換しかない」と言われ高額な見積
  • 交換する間にどこに住むの?建物より長寿の設備?
  • 完全解決ではなく、低空飛行の解決策はないのか?
  • 既存鉄骨をそのまま使って補修できる方法?(ここで弊社を見つけた)

お話を工場に持ち帰って、工法をあれこれ考えます。工事スタッフ同士で過去の工事例を活かせないか、アイデアがあるかと相談しあうこともあります。

私(横山)がご提出する見積には「ストーリー」があります。ただの表計算のシンプルな見積書ではなく、「オーナー様の建物は〇〇で××という前提があります。しかし△△という問題点は優先的に解決すべきです。だから□□を我慢して△△の問題にコストを絞った作戦を考えてみました。また、将来的に◇◇という問題があるかもしれませんが、●●という補強策が想定されます。だから工事費用はこれこれです!」とラブレターのようなお見積をご報告することがあります。(長いから表形式でくださいというオーナー様もいらっしゃいます(汗))

ケレン作業

お見積をご提出してから数日、オーナー様から「うん、では横山さんのところで頼むね」とお返事をいただけました。

「ありがとうございます。ところでどうして弊社をご信頼くださったんですか?」と聞くと、「御社より安い他社見積書もありました。でも、横山さんの提案が一番安心できました。数字の理由が府に落ちた。他社は「予算はいくらですか?それに合わせて計上しますよ」とか、「解決するにはコレしかないから任せて。だから費用はこれ」の一点張りでコスト中心だったけど、横山さんは工事で優先するべき内容と、削ってもいいけど片目つぶってほしい内容、私たちオーナーにも作業を一部お願いするなど、合理的現実的な泥くさい戦略だった」とお返事をもらえました。私も胸が熱くなって「全力でこの現場で挑むぞ!」と心に火が付きます。

多くの工事現場は費用面しか見てないのが現状です。もちろん、お仕事である以上は費用は重要な要素で安い方が良いに決まってます。しかし、盲目的に見切り発車すると近隣住民の方からのクレームが入ったり、想定外の追加工事ばかり発生して結果的に場当たり的な工事になってしまうかもしれません。

そうならないためには、見積段階でストーリーを作って、工事前の詳細計測で工事シナリオを立てて、オーナー様に理解してもらい粛々と工事をするしかない。

現地調査では、この工事方針を説明したあとにようやく計測をします。計測は誰でもできるけど、工事方針はオーナー様にお伝えしないといけない。つまり、私どもの現地調査は、「計測よりも取材」に近いです。

ここまで読んでくださる方はほぼいらっしゃらないと思います(汗)。でもこれが小さな町工場の心意気だと思っていただければ幸いです!<m(__)m>

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